海外のサイトで日本のフリーフォントが不正に販売されるという問題があったそうです。私も末席のフリーフォント配布者としてちょっと心配になったので、自分のフォントが販売されていないか少し調べてみました。
こちらに、当該フォント作家さんによる詳しい経緯や洞察があります。業者の実際のところの目的は謎ですが、Boothのフリーフォントが利用されているとなると人ごとではありません。
追記:あの有名おしゃれフォント、アオハルマーカーまで被害に遭われていました。noteに詳しい対処法を書いてくださっています。
当該の店舗は『88素材铺』です。リンクするのは憚られるので、気になる方は各自検索して下さい。
さっと見ただけでもBoothで見かけたサムネだと分かるものがいくつかありました。なんだこれは! フォント以外の素材もどこかから引っ張ってきているのでは? しかし数が多い!
まず間違いなく無断販売です……。地道に通報すればタオバオが対応してくれる……かは分かりませんが、看過できる問題ではないのでは。Twitter(X)では1ヶ月ほど前の話題だったので、結構周知はされていそうです。
フレーム素材などを配布している方は、Baiduで画像検索するとこういった不正販売に気付けるかもしれません。(Googleでは検索に引っかからない場合が結構あります。)
商品を何ページか確認したところ、42ページ中、数ページ以降はほとんどサムネが重複していました。商品数を水増ししているように見えます。商品販売の実績作りをして商店を育て、屋号(アカウント)ごと転売したりする手法なのでは。
なお私が配布しているフォントはこれです。祝・公開2周年。SIL-オープンフォントライセンスで配布していて、最近GitHubのリポジトリも編集しました。

検索が難しいことが判明
被害に遭った件の詳細記事を見るに、フォントは中国最大のショッピングサイト:タオバオで販売されていたとのこと。膨大な商品数なので、見れたとしても自力で探すのは無謀かもしれません。問題になっている店舗だけでもかなりの商品数です。
上の記事を読む前に中国のフォント販売サイトをいくつか調べたところ、国外からはアクセスが制限されていたり、Googleにはインデックスされていなかったりしました。
しかし中国の検索エンジン百度(Baidu)を使ったところ、いくつかのフォント紹介サイトの記事が出てきました。

画像検索しても普通の紹介サイトが出るだけでした。フリーフォントとして明記されているし、特に問題なさそうです。紹介に感謝……。(簡体字不足に申し訳無さを感じつつ、軽率に追加したいとも言えない現状です……。)
結果、中国向けのエゴサをする場合、GoogleではなくBaiduが良さそうということが分かりました。以上です。内容が薄い情報ブログ並みの成果です……。
これらの記事を全て確認するのは体力的に厳しいし、名称が変更されていたら更に自力で探すのは無理な領域です。自力で気づくことがまず無理だと分かっただけでも収穫なのではないでしょうか……。
中国のフォント事情について余談
中国では公認フォントしか公的な場所で使えない、と聞いていました(GB規格)。実際は制限される場面は限られていて、結構自由みたいです。
今回色々なサイトでユニークなフォントが公開されているのを確認し、中国でも創作活動が活発に行われているんだな、としみじみ思いました。以前CJKフォントを探したときになかなか見つけられなかったので尚更そんな気分です。CJKという括りではなく、中国語フォントや韓国語フォントで個別に探したほうが良かったのかもしれません。
おわりに
自分の制作物が犯罪に加担していたらどうしようかと思い焦って調べたものの、使われていても事前に気付くのは困難ということが分かりました。すでに問題になっている店舗は確認できたものの、屋号を変えれば同じようなことが出来るだろうし、その都度通報するしかなさそうです。まあこういった問題が積み重なれば、タオバオ側が規制をもっと厳しくするのでは。
今回は中国のサイトなので検索の壁が少しありましたが、国内のサイトや英語圏のサイトでも同様の危険はあります。以前参加したゲームジャム作品の不正販売問題のときにも思いましたが、氷山の一角です。不正販売品を知らずに買ってしまわないよう注意が必要です……。
もし弊フォントが有料フォントとして販売されている場面に遭遇しましたら、ご連絡下さい。